2017.03.22
こんにちは田口です。
店舗の家具でガラスケースを作らせていただく事があるのですが、
出荷前の掃除で、あるスタッフが拭いてくれたガラスを見ると、
僅かにくもりがあったので、拭きなおしてもらったのですが、その後なぜ
くもりひとつ無いほど綺麗な状態にするか説明したのですが、日々の作業で
忘れがちな思いを思い出させてくれたので、書かせてもらいます。
なぜ綺麗にしなくてはならないのか、これは私の考えですが、ガラスケースはそもそも何のために存在しているのか、もちろん商品を並べてお客様に見てもらうためです。
ガラスケースの中に入れる商品は、宝石・装飾・食品等ありますが、
どれもお店の方の想いが入った商品を並べてもらうのに、ガラスが汚れていたり、
くもっていたら大事な商品が、汚れて見えたり、くすんで見えたりします。
それでは商品の価値を充分に表現出来ないことになります。
それではガラスケースの存在価値を下げてしまいます。何よりお客様の期待を
裏切ってしまいます。物には必ず存在意義があり、物を作ったり使う人は、
それを最大限に発揮させる努力をしないといけないと思います。
私は職人とは、物を作る技術が長けているのではなく、道具や材料の
存在価値を引き出す能力があるだけだと思います。
どんなに素晴らしい技術を持っていても、道具がなければ何も出来ません。
道具がきちんと手入れされていなければ、充分に腕も振るえません。
職人は道具に生かされて、その道具を使って材料価値を引き出していると
思います。
だから、物には感謝の気持ちを持って大事にしなければならないと思います。
江戸時代の話ですが、そもそも布自体が貴重な物でしたが、新品の着物は
高価なため、一部の人にしか手に入らず、多くの人は古着屋で購入していた
そうです。そしてその古着をボロボロになるまで着ると、使えるところで
子供の着物を作り、あまった端切れは端切れ屋に売り、子供の着物の後は、
赤ん坊のおしめに、そしてその後は焚き物に、なんとその燃やした灰も
売っていたそうです。
この物を大切にする行動は素晴らしいと思います。
今の時代ここまでは難しいと思いますが、貴重な木材を使用する職種なので
材料だけでなく、道具をはじめ全ての物に感謝の気持ちを忘れずに
大切に使っていきたいと思います。